インタビューで聞くのは人間模様
- 中島洋一(株式会社ビートアンドライト代表)

- 2月9日
- 読了時間: 3分

★★★「インタビュー講座」2026年2月14日までモニター価格1万1000円で受付中★★★
プロインタビュアーの仕事は、ときに著名な経営者や憧れのスターと対峙し、その肉声を聴きます。しかし実は、極限の集中力と繊細な人間理解を要求される、きわめて泥臭い、感情の起伏の激しい仕事です。
そんなプロインタビュアーにとって最も「喜しいこと」は、予定調和が崩れ、相手の「剥き出しの言葉」がこぼれ落ちた瞬間です。
当初は用意された模範解答を繰り返していた取材対象者が、ふとした問いかけをきっかけに、ふっと表情を緩める。あるいは、深い沈黙のあとに「こんな話、初めて人に話すんですが」と、心の奥底に眠っていた記憶を語り始める。そのとき、現場の空気は密度を変え、静かな熱を帯びます。
自分の準備した「問い」が、相手の人生という「鍵穴」にカチリとはまった感覚。この、他者の人生の一部を分かち合う濃密なカタルシスこそが、この仕事から離れられなくなる最大の報酬です。
インタビューの原点は人への好奇心
一方で、喜びの裏側には常に「悲」が張り付いています。準備を重ね、万全の態勢で臨んだとしても、人間同士の「相性」には抗えないことがあります。こちらの意図が空回りし、相手が頑なに心を閉ざしてしまったときは、へこんでしまいます。
話の核心に触れようとするたび、まるで"広報担当者”のような出来合いの回答でかわされる無力感。与えられた時間はわずか15分、その短時間で信頼関係(ラポール)を築けなかった自分への不甲斐なさ。文字起こしを見ながら、「なぜここで踏み込まなかったのか」「この質問は余計だった」と頭を抱えることも。
取材対象者の言葉を預かるつもりで挑んでいながら、十分に引き出せなかったときも、ゼロではありません。ベテランになるほどそんなことは減るけれど、これから一切ないとは限らない。
結局のところ、インタビュアーの悲喜こもごもを分かつのは、「人間に対する飽くなき好奇心」という名の「業」かもしれません。
どんなに冷たくあしらわれても、あるいはどんなに美しい物語を聞かされても、私たちは「本当のところはどうなのだろう」と疑い、探し続けることをやめられません。相手を丸裸にするようでいて、実は鏡のように自分自身の人間力や度量が試されている――。インタビューとは、他者の人生を借りて自分を研磨する、贅沢で残酷な営みなのです。
ペンを置き、レコーダーを止めた瞬間に訪れる、祭りのあとのような静寂。そこで感じる心地よい疲労感と、わずかな後悔。その入り混じった感情を抱えながら、プロインタビュアーはまた次の「人生」に会いに行きます。
★★★「インタビュー講座」2026年2月14日までモニター価格1万1000円で受付中★★★




コメント