インタビューは究極のアウトドアスポーツ
- 中島洋一(株式会社ビートアンドライト代表)

- 2月15日
- 読了時間: 2分

インタビューの仕事をしていると、よく「質問力が大事だ」とか「事前準備がすべてだ」と言われます。もちろんそうなのですが、現場で最も痛感するのは、「人間はコントロールできない『自然』そのものである」という事実です。
例えば、インタビューは樹海やジャングルを歩いて進むことに似てると思います。準備段階では、あらかじめ「聞き出したいこと」を決め、質問案を作り、ゴールを見定めます。しかし実際の対話は、整備されたアスファルトの道路を歩くようにはいきません。目の前の人間は、常に変化し続ける複雑な生態系のような存在だからです。
軽い問いかけが、相手の深い核心に触れて、話が大きく逸れることもあります。相手側のコンディションの問題もあります。その日の体調、その日の気分、直前にあった出来事によって、言葉の「茂み」の深さは変わります。ともかく、置かれた状況でベストを尽くし、目の前の相手という密林を丁寧にかき分け、その時、その場所でしか見つけられない言葉を拾い上げる。それがインタビュアーの役目です。
インタビューはサーフィンにも似ています。対話には「流れ」があり、これは刻々と形を変えていく波そのものだと思うのです。インタビュアーはときに、相手を見てタイミングを待つことが求められます。核心に触れる質問を投げるには、海面に漂いながら「良い波」が来るのを待つ忍耐力が必要なのです。
そしてバランス。相手の話が熱を帯びたとき、あるいは沈黙が流れたとき。そのリズムを否定せず、波の動きに合わせます。無理に自分のペースに引き込もうとすれば、波(対話の流れ)は崩れてしまうでしょう。相手が作り出すリズムを尊重し、そこにうまく乗っていく。そして波と一体化する。それが、結果として質の高い言葉を引き出す近道になります。
インタビューは制御不能だからこそ面白い
人間を「情報を吐き出す機械のような存在」ではなく「制御不能な自然」として捉える。一見、非効率に見えるこのスタンスこそが、インタビューの醍醐味です。だからこそ、自分一人で考えるだけは到底たどり着けなかったような、驚くほど美しい景色(言葉)に出会えるのです。
インタビューとは、人間という未知の領域を、敬意を持って歩き回る作業である。
この仕事の本質はテクニック以前に、目の前にいる「人間」という「自然」をどれだけ面白がれるかにあるのかもしれません。インタビューは究極のアウトドアスポーツなのです。
あっ、ちなみに私はサーフィンをしたことがありません。生意気なこと言ってすみませんw




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