インタビューライターはイタコである
- 中島洋一(株式会社ビートアンドライト代表)

- 3月17日
- 読了時間: 2分

ライターという仕事をしていると、時折「自分という個性が消えていく」ような感覚に陥ることがあります。
名の知れた著名な作家であれば、その人独自の文体や主観が求められるでしょう。しかし、私のような職人ライターは違います。原則として「自分がその媒体(ウェブサイトや雑誌)そのものになったつもり」で筆を動かします。そこに個人の好みや主義主張を差し挟む余地はまずありません。
この感覚は、どこか「イタコ」に似ている気がするんです。青森県恐山の、あのイタコ。
死者の霊を呼び出し、その言葉を自らの口を借りて語る「口寄せ」。ライターもまた、取材対象者の想いを汲み取り、掲載されるメディアのトーンという「衣」を纏って言葉を紡ぎます。自分という器を空っぽにして行うそれは、口寄せにそっくりです。
「自分の名前で書きたい」という欲求も無いことはないですが……。自分はオウンドメディア、つまりお客さまの媒体づくりに長く携わってきました。自分が制作したオウンドメディアに、自分が書いた文章が載っているわけですが、自分の名前は一切載っていない。なぜならお客さまの媒体だからです。自分はそういう忍者のような存在というか、隠れた職人でいることに、この仕事の面白みを感じていました。
エゴを捨て、何者かになり代わる。その心地よい無我の境地こそが、インタビューライターという仕事の深淵なのかもしれません。
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