問われるのは文章力ではなくゴールを決める力


駆け出し記者の頃、インタビューで"話を回す”ことばかりに気をとられ、あとで記事を書くとき、大変な思いをしたものです。その大変な理由は、ゴールが曖昧なままインタビューをしていたからなのだと、ある時、気が付きました。
どうしてゴールが必要なのか
インタビューの時間は限られています。だからこそ、何となく話を聞いているだけでは、後から「これ、本当に必要だったのかな?」と悩むことが増えます。取材前に「誰に」「何を」「どのように」「誰が」を整理すると、迷いが減り、記事を書くときにも手が止まりにくくなります。
誰に
読者はどんな人ですか?
どんな悩みや関心を持っているか?
何を
この記事で伝えたい大切なことは何か?
どんな気持ちや考えを残したいか?
どのように
どんな言葉や切り口で伝えると、読者が読みやすくなるか?
読者に寄り添う文章にするには、どんな表現がよいか?
誰が
発信者はどんな立場か?
読者にとって信頼しやすい書き手の立ち位置か?
自分はインタビューの企画が始まる時のこの4つを整理・メモします。そして、記事を書きあげるまで手元に置いておきます。質問を考える時、インタビューをしている時、記事を書いている時……、「これは記事に入れるべきか?」迷ったときに判断することができるからです。
インタビューの精度が上がる
「何となく面白そうだから聞いてみた」という質問も場合によってはアリですが、そのような質問に対する回答は、記事にするとき入れるべきかどうか迷うことが多いです。
ゴールがはっきりすると、取材中に聞くべきことが見えてきます。時間が足りないときでも、「この記事で一番伝えたいこと」に近い話を優先できます。また、予想外の話が出てきたときにも、「この話は読者の役に立つかな?」と振り返りやすくなります。そうすると、インタビューがただの会話ではなく、読者のための時間になります。
実は教科書・参考書にも書かれている?
学生向けに書かれた「作文の書き方」のような本を見ると大抵、「『誰に』『何を』伝えるのか明確にしましょう」と書かれています。大人になって記者になり、これを読んだ時、目からうろこが落ちたものです。
しかし、仕事としてテキストをつくるライター・記者の場合、この2つに加えて「どのように」「誰が」という視点が効いてきます。というか必要になってくる。
もう一つ補足すると、コンテンツ業界を陰で支える「ライター」から、著名な「作家」になったとき、「どのように」「誰が」はそれほど必要はなくなるのだと思います。村上春樹はエッセイを書くとき、常に村上春樹として、村上春樹らしくエッセイを書いているはずなので。
と、ここまで書いて気が付いたのですが小説の場合は、次のようになるかもしれません。
「誰が」=「物語の”語り手”の視点をどこに置くか」
「どのように」=「その時々の出版市場を鑑みて、どのような発信のしかたがよいか(売れるか)」
なので小説を書く場合、「誰に」「何を」に加えて、やはり「どのように」「誰が」を整理することになりそうです。書いたことがないので間違っていたらごめんなさい。
つまり……書くことすべてをAIに委ねる人生は、もったいないようねというお話でした。
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